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一生の不覚と思った瞬間
S君は19歳。2,3ヶ月前から、フラッと現れては広場で時間を潰しているので、私も暇に任せて彼と会話をするようになりました、金髪でまゆ毛も手入れしてるっぽい。で派手なスタジャンを着て小脇にスケボーを抱えている、傍目にはヤンチャそうな男の子(ちなみに当店でお買い上げいただいた事は皆無)。

母親が3人替わるという家庭に育った彼は、腹違いの妹や弟の面倒や家事を若い継母に押し付けられ自炊も一通りできるようになったとか。

そんな環境で一緒に育った姉は「こんな家もういやだ」と言って東京へ。以後音信不通。本人も中学を卒業と同時に家を出て先輩の紹介で派遣として数年働いてきたそうな。「ちゃんと働くと、結構稼げるんだ」と言っていたのに、このご時勢で案の定、契約を打ち切られたらしいのです。

「でも、先輩の紹介で新しい仕事決まったんです。住むところも先輩が用意してくれたんで、明後日引越しでー。」と、久しぶりに顔を見た途端話しだしたS君。それが私のお店の閉店の前々日のこと。

「そっかぁ。私も明後日、閉店だから、2月からお互い新しい生活だねーがんばろうねー」と私。

「でー、今あるお金が二万円だけなんだけど、次の給料までお金がないから、パチンコで増やしてこようかなぁ」と言うので「やめときなさい。もし負けたらどうやって食いつなぐの?」と諭した私。そして閉店時間になり、私が片付けを始めると彼は帰っていきました。

そして翌日、またSはやってきました。今日も広場で時間を潰そうと決めたのでしょうか。

「あー今日も暇。早く仕事したいなぁ」と言うので「お、仕事好きなんだー」と言うと、「だって仕事してないとストレスたまらん?」と彼。思いっきり頷く私。働くことの充実感を知っている若者は本当に気持ちがよいものです。

「あ、そうそう、昨日パチンコ行ったの?」と思い出して私が尋ねると、
「。。。負けちゃった」と彼。

私「え、いくら?」
S「全部,・・・」
私「・・・どうすんの・・・」
S「親に借りる。あんまりしたことないけど、二万くらいなら貸してくれると思う。ちゃんと返すし」

・・・意地になって完全に断絶してるわけではないみたい。頼れる親がいるなら良かったけど。

そんな話をしていると、廃業間際ということもあり、お客様が続いて、ご挨拶したり、お花をいただいたり、と私が忙しくなってきて、S君と会話する時間がなくなってきました。S君はベンチに座ったり立ったり。私とお客様との会話に興味があるらしく、付かず離れずの距離でブラブラしていました。

そこで私はいつもするように、常連さんで比較的オープンな方がいらっしゃると、会話の途中でS君に話を振って会話に参加させました。新しい顔と新鮮な会話を面白がってくれる常連さんは、有り難いことに結構いるので、広場はまさに井戸端会議場。そんな光景が出来上がる過程を車の中で感じるのがこの仕事の醍醐味だったのですが。

さて、ひっきりなしに常連さんや新規のお客様(新聞を見たとご来店の方が、閉店まで続いたので)が続き、私は、井戸端を眺める余裕もなくなってきました。そして気づくと、一万円札のお客様が続いたせいでお釣りの千円札が足りなくなっていたのです。

普段なら、お客様が途切れた合間に、近くのお店でちょっとした買い物をして細かくするのだけど(もっとも普段はつり銭がなくなるなんてほとんど経験なし)、今日はお客様が続いているので、店を空けるわけにもいかないし。

どうしようどうしようどうしよう。と考えながらコーヒーを作り続ける私。

その時、ブラブラしているS君が視界に入ったのです。閃いた!

「Sくーん」車の中から声をかけました。彼はすぐにカウンターに近づいてきました。
「・・・ちょっとお願いがあるんだけど。。。」と私が神妙に切り出すと
「え、なんですか・・・」と彼も神妙になる(笑)。
「すっごく申し訳ないんだけど、近くのコンビニで、この一万円を崩してきてほしいの。1000円以内でなんか買って来ていいから。」それくらい切羽詰ってるという私の気持ちがそうまで言わせました。

「え、なんでもいいの?」と彼が勢い込んで言うので
「1000円以内ね!」と、つい念を押す私(笑)。差し迫った感が伝わったのか、彼は
「すぐ行ってきます」と言うなりクルッと向きを変えて走り出しました。若いなぁー速いわー、とちょっと感心して後姿を見送る私。

・・・・いや、そこまで急がなくてもいいんだけどね・・・




続く。


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プロフィール

Lazy Betty

Author:Lazy Betty
元・移動カフェオーナーの新たな野望を実現させるまでの軌跡(奇跡じゃないよ)のブログです。

愛知県豊田市駅前にてコーヒー屋台(移動カフェ)営業をしておりました。
その3年間に渡る定点観測の経験から、駅周辺に集う人々が何を求め、どんな場所を必要としているかを観察し続けた先にあるものを共有できれば幸いです。

2009年12月~2010年11月まで、豊田市駅近くの「Bar old kenny」にて、昼間カフェ部門として「The third place」を展開しておりました。現在はフリーで、傾聴屋、デリバリーのコーヒーサービスをお請けしております。

家庭ではなく、職場でもない、お客様にとって三番目の居場所を作りたいと思っています。しがらみのない、肩書きも必要ない、そんな緩やかな時間をお過ごしください。

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